給湯器の騒音対策と対処法

給湯器の騒音対策と対処法

給湯器の騒音問題について

私たちの生活における必需品である給湯器からは、運転音が大きく感じられる場合や、その音により隣人から苦情が寄せられるケースがあります。給湯器自体を取り除くことはできないため、その騒音対策はどう対応すべきなのでしょうか。

さらに、給湯器から異音が発生することもあります。「以前とは何か違う音が聞こえる」、そのように感じたとき、どうしたら良いのでしょうか。

この記事では、給湯器の騒音や異音についての対策方法を詳しく説明します。給湯器の騒音や異音でお困りの方は、ぜひ参考にしてください。

<音の種類>
給湯器から発生する騒音について説明する前に、一つ注意すべき点があります。

給湯器から出る音の中には、故障の兆候を示すものも存在します。しかし、素人がその音が正常なものなのか異常なものなのかを精確に判断するのは困難です。

もし気になる音が長期間にわたって持続する場合、早めに専門家に点検を依頼することをお勧めします。

ガス給湯器が動作する際には、多くの音が鳴ります。そのうちの主な4つの音の種類を以下に紹介します。

(燃焼音)
ガス燃焼時に生じる、比較的低い周波数(一般的に100~200Hz)の音。
(吸排気音)
燃焼用ファンによる吸気や排気時に生じる風切り音。高周波の音(一般的に数100Hz~数kHz)です。
(通水音)
水または湯が弁や熱交換器を通過する際に生じる音。
(暖房使用時の音)
暖房温水循環ポンプから発生する音。

給湯器の動作原理上、上記4つの音は必ず発生します。

これらの音は、給湯器を修理または交換したとしても消すことはできません。従って、これらの音が大きく感じられる場合には、後述する方法を用いて対策をとることが必要です。

<正常な給湯器から出る音の一例>
以下は、給湯器が正常に機能している際に発生する可能性のある一部の音です。

「ウィーン」
モーターの動作音です。
「フォーン」
ファンの作動音です。
「グワングワン」 
ポンプが動作したり、追い焚きや防凍のための自動循環が行われる際に発生する音です。
「ジュ(蒸発音)」 
熱交換器に結露が落ちて蒸発する際の音です。

これらの音は、給湯器が正常に動作している間に出る音なので、故障のしるしではありません。

しかし、故障時に聞こえる音と似ていることもあるため、専門家の意見を求めることをお勧めします。特に、「普段とは違う音がする」と感じ、その状態が続く場合は、専門家に点検を依頼することをお勧めします。

<故障の可能性を示す異音の一例>
給湯器内部から「ピー」
ファンモーターが正常に動作していない可能性
給湯器内部から「ボンッ」
不完全燃焼や、燃焼装置や電装装置の異常を示す可能性
給湯器内部から「カラカラ」
部品が破損したり、欠落している可能性
排気口から「ゴォー」
排気口にゴミや他の異物が混入した可能性
風呂釜から「ポコンポコン」
循環パイプが折れ曲がっている可能性
配管から「キーン」
蛇口を急に閉じると配管内の圧力が急変し、このような音が出る可能性

上記のような異音が出る場合は、リモコンにエラーコードが表示されていないか確認してみてください。エラーコードが表示されていたら、メモしたり、写真に撮ったりしておくと便利です。

音響的な問題以外にも、次のような異常現象が発生する可能性があります。これらの異常を確認した際には、それをメモに記録しておき、修理や交換を依頼する業者にその情報を伝えてください。

以下に異常現象の一部を示します。

・異臭が発生する
・温かい水が供給されない
・湯温が一定でない
・排気口から煙が漏れる
・排気口周辺が煤で黒くなる
・排気口がホコリで塞がっている
・機器本体や配管から水漏れが発生している
これらの症状がある場合、一時的に給湯器の使用を中止することをお勧めするケースもあります。問題を早急に対処するため、すぐに給湯器の専門業者に連絡を取り、異音や異常状況を伝えてください。

電気給湯器「エコキュート」の音響問題

これまでにガス給湯器の音響問題や異音について紹介しましたが、近年では電気給湯器「エコキュート」の音響問題も訴訟に至るほど深刻化しています。こちらも参考までにご紹介します。

エコキュートは、「ヒートポンプユニット」で熱を生成し、「貯湯ユニット」で湯を蓄えるという二つの部分から構成されています。その中でも、近年問題となっているのはヒートポンプユニットの部分です。

ヒートポンプユニットは、運転音以外にも人間の耳には聞こえない低周波音(おおよそ12.5Hz)を出します。この音が健康被害の原因になると、一部の人々が主張しています。

以下に、低周波音による健康被害の具体的な例をいくつか紹介します。

・睡眠障害
・無力感
・肩の痛み
・動悸
・目まい
・頭痛
・食欲減退
エコキュートの音響問題の困難な点は、症状が一部の人々にしか現れないという事実です。そのため、自分自身は問題ないかもしれませんが、隣人が健康被害を受ける可能性があります。エコキュートを設置する場合、この事を考慮に入れて行動することが重要です。

また、隣人との間でトラブルが発生したケースでは、設置場所の変更、電気給湯器の交換、慰謝料の支払いなどを通じて解決に至った例が見受けられます。

ガス給湯器の音に関する問題と解決策

我々が今後取り上げるガス給湯器について、音に対する感じ方は個々の人によります。音の敏感さや感じ方は人それぞれで、多くの人にとって無視できる音でも不愉快に感じる方がいるのです。

そのため、自分にとって問題ないかもしれませんが、近所から苦情が来る可能性があります。そのような場合、極端な苦情でなければ対応しなければならない状況になるでしょう。

以下では、給湯器の騒音対策をいくつか提案します。あなた自身や近隣の人が給湯器の音で困っている場合、これらの提案が役立つかもしれません。

<使用時間の対策>
「昼間はあまり給湯器の音を気にしていなかったが、静かな夜になると音が気になる」と感じる人は少なくありません。そのため、近所の人が寝る夜間の使用を控えると、苦情を減らすことができるかもしれません。

しかし、深夜電力を利用して湯を沸かすエコキュートを使用するのは、あまり現実的な解決策ではないかもしれません。ヒートポンプを使用しない電気温水器に変更するか、以下の対策を検討してみてください。

<設置場所に対する対策>
もし就寝時に給湯器の音がうるさいと感じ、睡眠に影響がある場合は、あなたの家や近隣の寝室の位置を考慮に入れ、給湯器やヒートポンプの位置を変更することを検討してみてください。特にガス給湯器の場合、置き場所と夜間の使用制限を見直すことで、大きな改善が見込めるかもしれません。

エコキュートの場合、ヒートポンプユニットだけを移動させることも可能です。その場所や設置方法については、日本冷凍空調工業会が提供するガイドブックを参照すると良いでしょう。

参考文献:騒音防止を考えた家庭用ヒートポンプ給湯器の据付けガイドライン

<振動・騒音対策>
ヒートポンプユニットや給湯器の設置方法が適切でないと、装置自体の振動が音を生む可能性があります。確実な固定はもちろん、振動を緩和するために防振ゴムを使用することを推奨します。

また、ヒートポンプユニットや給湯器の直前に壁を構築し、音を防ぐための対策を講じることも有効です。ただ、壁や建物の外壁によって音が反射する可能性もあるため、設置時には慎重になる必要があります。

壁を設ける場合、適切な間隔を確保することも重要です。エコキュートや給湯器は、外壁や壁から一定距離を確保して設置することが求められます。

故障の可能性があるときの対応方法

給湯器から異常音が出て、故障の可能性があるときの対応について説明します。

初めに、給湯器の修理は自分で(DIY)試みないでください。ガス装置の操作は複雑で、適切な資格や知識がないと非常に危険です。

給湯器の設置や交換には、ガスや水道に関する専門的な知識が必要です。一部の作業には資格も必要なので、故障が疑われる場合は、専門の業者に相談することをお勧めします。

修理するか交換するかを迷った時は、使用年数を基に判断すると良いでしょう。

使用年数 推奨される対策
(メーカー保証期間内)
修理を考慮
(保証期間終了~7年以下)
修理の一方で交換も視野に
(8年以上~10年以下)
主に交換を検討し、場合により修理を考える
(11年以上)
安心のために交換を推奨します

関連記事