42℃ではガス代の節約にはならない? 給湯器の設定温度と節約アイデア

 給湯器の設定温度について迷っている方は多いかもしれません。各給湯器メーカーからは、適正な設定温度の推奨が出されています。

本稿では、自宅の給湯器の設定温度を下げても問題ないかどうかを検討している方向けに、メーカーからの推奨設定温度、節約のための運転時間削減方法、エネルギー効率の良い給湯器の選び方とその価格帯について解説します。
この情報がお役に立てば幸いです。

 

目次
1.ガス代節約42℃未満NG?
2.適切な温度設定以外の節約アイデア
3.省エネタイプの給湯器
4.まとめ

 

1.ガス代節約42℃未満NG?

給湯器の設定温度を節約目的で低めにしている方も多いですが、42℃以下に設定すると、結果的に光熱費を節約できない可能性があります。

<メーカー推奨の設定温度は50℃~60℃>
給湯器のメーカーは、50℃~60℃の間で設定温度を推奨しています。この理由は、実際に使用する温度よりも高めに設定することで、使用時の温度調節を容易にするためです。特に、サーモスタット混合水栓を使用して42℃のお湯を40℃前後に調整しようとすると、非常に繊細な調節が必要とされ、その操作が難しくなります。

<サーモスタット混合水栓とは>
サーモスタット混合水栓は、出水温度を自動で調整する水栓のことを指します。浴室、キッチン、洗面所など、様々な場所で利用されています。このタイプの水栓の特徴として、給湯器で設定した温度よりも使用点での温度がやや低くなることが挙げられます。

給湯器を42℃に設定した場合、実際の使用点での温度は38℃~39℃程度になることが多いです。サーモスタット混合水栓の温度設定が40℃を超えていても、実際にはそれより低い温度で感じられることがあります。適切な温度に調整しようとすると、結局はお湯を長時間使用することになり、水道光熱費の削減には繋がらないことが多いのです。

※サーモスタット混合栓についての記事はこちらから

 

2.適切な温度設定以外の節約アイデア

給湯器の温度設定を下げるだけでは節約に繋がらないことがわかりました。ここでは、温度設定以外での節約テクニックをいくつか紹介します。

<追い炊きを控える>
お風呂の追い炊き機能は極力使用しないようにしましょう。一度のお湯はりで済ませ、入浴時間を合わせる、浴槽のフタをしてお湯の温度低下を防ぐなど工夫が必要です。少し温度が下がっても、追い炊きではなく追加のお湯を足す方がエネルギー消費を減らせます。

<食器洗いは水でつけ置き>
食器洗いでは、お湯ではなく水でのつけ置き洗いが効果的です。汚れを浮かせてから洗うことで、短時間で効率良く洗えます。特に、冬場以外では、水ですすぎ、ゴム手袋を使用することで手の冷えや手荒れも防げます。

<給湯器への負荷を軽減>
給湯器の使用頻度を減らすことで、機器への負荷を軽減できます。追い炊きの回数を減らしたり、シャワーの時間を短縮したり、キッチンのお湯の設定温度をやや低めにすることで、給湯器の燃焼回数を減らし、長期的な寿命にも貢献します。

<省エネ型給湯器への切り替え>
エコジョーズやエコキュートなどの省エネ型給湯器への切り替えも検討しましょう。これらの給湯器は、排熱の再利用や効率的な運転により、エネルギー消費を抑えることができます。また、CO2排出量も低減できるため、環境に配慮した選択となります。

 

3.省エネタイプの給湯器

光熱費を節約できる省エネ型給湯器として「エコジョーズ」「エコキュート」「ハイブリッド給湯器」が注目されています。各々の特性と目安となる価格帯を以下に紹介します。

<エコジョーズ>
エコジョーズは、排熱回収技術を用いてガス消費を抑えながら効率良くお湯を供給する給湯器です。光熱費削減が見込める点が魅力です。価格は追い炊き機能付きモデルで、およそ15万円からとなっています。

<エコキュート>
エコキュートは、外気の熱と電気を利用して給湯を行うシステムで、保温タンクを用いて効率的にお湯を溜めておくことが特徴です。このシステムは、比較的少ないエネルギーで温水を提供できます。追い炊き機能付きのエコキュートの価格相場は、約30万円からです。

<ハイブリッド給湯器>
ハイブリッド給湯器は、電気とガスの双方を利用して給湯するタイプで、リンナイの「エコワン」やノーリツの「ユコアハイブリッド」などが知られています。使用状況に応じて最適なエネルギー源を選択し、給湯と保温を行います。これにより、ランニングコストを大幅に削減できるとされています。価格相場は追い炊き機能付きで60万円からとなっています。

<シンプルな給湯器>
省エネタイプの給湯器は多機能で光熱費の節約に貢献しますが、構造が複雑であるためにトラブルが生じやすいという側面もあります。例えば、エコジョーズは排熱利用による摩耗や、エコキュートでは配管の腐食による水漏れなどが考えられます。一方で、給湯機能のみを備えたシンプルな給湯器は、長期間にわたるコストパフォーマンスが高い場合があります。

省エネ型給湯器は、初期投資が高いものの光熱費削減に寄与しますが、システムが複雑であるため、部品の消耗や故障のリスクも考慮する必要があります。そのため、長期的な利用を考える場合は、機能性とメンテナンスのバランスを考慮した選択が重要です。

4.まとめ

今回、給湯器の温度設定の最適化、光熱費を削減するためのアイディア、そして省エネ型給湯器の市場価格についてお話ししました。

お湯の温度を節約のために下げても、実際には設定温度よりも低くなりがちで、適温に達するまでお湯を流し続けることになりがちです。これでは、節約にはならないことを理解していただけたでしょう。

そのため、温度設定を下げるよりも、追い炊き機能を使用しないなど、給湯器の稼働回数を減らす方がより効果的な節約策となります。日常生活の中での小さな変更が、光熱費を減らすことに繋がります。ぜひ家族と一緒に、これらの方法を実践してみてください。

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