給湯器の電源「常時オン」vs「スイッチON/OFF」- コストパフォーマンス比較分析
給湯器の電源「常時オン」vs「スイッチON/OFF」- コストパフォーマンス比較分析
給湯器が不要な時にもリモコン電源を常時オンにしておくことと、使用する度にスイッチをオン/オフすることの間で、電気代やガス代にどのような違いが生じるのでしょうか。さらに、電源を常時オンにしておいても安全面での心配はないのでしょうか。
目次
1.常時電源オンは安全?それとも危険?
2.電源「常時オン」による電気・ガスの消費量
3.「つけっぱなし」vs「ON/OFF」
4.給湯器の電源と節約の考え方
5.まとめ
1.常時電源オンは安全?それとも危険?
お湯を沸かすためにガスを燃焼させるガス給湯器において、使用していない間も電源を入れっぱなしにすることには危険は伴うのでしょうか?それとも、使用するたびにリモコンのスイッチをオン/オフすることが推奨されるのでしょうか。
このような疑念を抱えたことはありませんか?
結論としては、給湯器のリモコン電源を常時オンにしていても、それだけで事故のリスクが高まることはほぼないと言えます。現代の主流となっている給湯器は、リモコンの電源がオンの状態であってもガスが燃焼しない仕組みになっており、お湯の使用時にのみ着火しガスが燃焼する構造となっています。さらに、万一のガス漏れが発生した場合でも、安全装置が働きガスの供給を止める安心設計となっています。
<特定の給湯器では常時電源オンに注意が求められる>
給湯器の寿命は通常10年程度とされています。そのため、製造から10年以上経過している給湯器は、いつ故障するか予測しにくくなります。特に20年以上前の製造となる給湯器の使用には注意が必要です。
古い給湯器の中には、持続的な種火を利用して点火・燃焼するタイプや、安全装置が完備されていないモデルも存在するため、故障時に大きな事故へとつながる可能性があります。古い給湯器を使用している場合、安全な使用状態を確保するために点検を受けることを推奨します。
バランス釜タイプの給湯器においても同様の注意が必要です。種火を利用する仕組みのため、電源を常時オンにすることは火がついている状態を意味します。給湯器は基本的に安全に使用可能な機器ではありますが、使用するたびに電源を切る習慣を持つことで安心感を得られます。
2.「常時オン」による電気・ガスの消費量
物価が上昇する一方で、光熱費の節約は家計にとって重要なテーマとなっています。無駄な電力やガスの消費を削減したいと考える人は少なくないでしょう。特に気になるのが、給湯器のリモコン電源を常時オンにすることの影響です。
リモコン操作タイプの一般的な給湯器では、リモコンの電源をオンにしてもガスの燃焼は発生せず、ガス料金は発生しません。しかし、電源が接続されている以上、若干(約1W〜3W程度)の電力は消費されるため、電気料金がかかります。そのため、給湯器を使用していない間はリモコンの電源をオフにすることで、待機電力のわずかな削減を図ることが可能です。
それでも、いくつかの家庭では未使用の家電製品の電源プラグを抜く習慣があるかもしれませんが、給湯器本体の電源プラグは抜かないことを強くお勧めします。給湯器には冬季の低温時に自動で凍結防止機能が作動する仕組みがあるため、電源プラグを抜くとこの機能が機能せず、給湯器内の水が凍結し、給湯器が故障するリスクがあります。
3.「つけっぱなし」vs「ON/OFF」
さて、実際に給湯器のリモコン電源を常時オンにするか、使用する都度オン/オフするか、どちらがお得なのかを計算してみましょう。
<リモコンのON状態とOFF状態における消費電力>
給湯器の消費電力は機種により異なりますが、電源オンでの待機状態はオフ状態に比べておおよそ2W程度消費電力が多いとされています。電気代を26円/1kWhとし、1日のうち22時間を待機(2時間は給湯器を使用)と仮定して計算します。
2W÷1,000×26円×22時間×30日≒34円
「リモコンの電源をつけっぱなしにしている」状態と、「オフにしている状態」の間での差は、月間で約34円という結果になりました。
本当に差は34円だけ?待機電力以外の意外なムダ
実際には電源を常時オンにしている場合も、使用する都度オン/オフする場合も、それぞれにムダな光熱費が発生する可能性があります。具体的なケースを以下に示します。
<電源を常時オンの場合>
給湯器の電源が常時オンになっていると、意図せず給湯器を作動させてガスと電気をムダ使いするケースがあります。例えば、シングルレバー混合水栓のハンドルがお湯側に向いていて、水を使おうとしたのにお湯を出してしまう場合など。使用する都度リモコンの電源をオフにしておけば、無意識にガスを燃焼させてしまうケースを減らし、ガス代・電気代を節約できます。
このようなムダが頻繁に起きている場合は、月間34円以上の光熱費の節約が可能になるかもしれません。
<使用ごとにON/OFFする場合>
給湯器の電源がオフの状態でお湯を出そうとして、お湯側のハンドルをひねり、結果的にムダな捨て水を作ってしまった、なんて経験はありませんか?このように、給湯器の電源をオフにしていると、ガスが燃焼していないことに気づかずに水をムダに使ってしまうケースが考えられます。
このようなうっかりミスが頻発するのであれば、こまめにスイッチをオフにすることで、結果としてムダな水道代が発生している可能性があります。
4.給湯器の電源と節約の考え方
給湯器のリモコンの電源を「常時オン」にするか「使用の都度オン/オフ」にするかについて考察しましたが、家計に大きなインパクトを与えるほどの光熱費の差は見られませんでした。日々のランニングコスト、特に光熱費を削減するためには、リモコンの電源よりもむしろ給湯器本体の効率に焦点を当てるべきかもしれません。一般的に、家庭の光熱費の約3割は給湯によるものです。この節約ができれば、長期的にはかなりの差が現れそうです。
古いタイプの給湯器から高効率なエコジョーズに交換すると、「ガス使用量が12%削減できる」、エコキュートに交換すると、「光熱費が1/4に削減できる」という試算も示されています。家族構成やお湯の使用頻度により影響は異なるため一概には言えませんが、ガス消費が多いご家庭では、給湯器の交換によるメリットが大きく、交換を検討する価値があるでしょう。
<エコジョーズがガス代を節約する仕組み>
従来の給湯器で失われていた排気熱(余剰熱)を再利用することにより、エコジョーズは給湯熱効率を大幅に向上させます。少ないガス消費でお湯を沸かせることから、環境にやさしい上、ガス代の節約にもつながるのです。
<エコキュートによる光熱費削減のメカニズム>
オール電化の給湯システムであるエコキュートは、空気中の熱を利用するヒートポンプ技術により効率的にお湯を沸かします。これにより、電力消費を低減できます。さらに、多くの電力会社はオール電化向けプランにおいて、夜間の電気料金を昼間よりも低く設定しています。エコキュートは、電気料金が安い夜間にお湯を沸かして貯め、翌日使用することで、光熱費を削減することが可能になるのです。
https://www.ac.daikin.co.jp/sumai/alldenka/ecocute/structure
5.まとめ
給湯器のリモコン電源を使用ごとにオン/オフする操作は、つけっぱなしにしている場合と比較して、月間で見ると僅か34円程度の差しか生まれません。この微小な差を見ると、もし目的が光熱費のさらなる削減であるならば、異なるアプローチを考える価値があります。具体的には、古いタイプの給湯器を最新のエコジョーズやエコキュートに交換することで、より劇的な節約効果を実感できる可能性があります。このような最新の給湯器は、効率的な熱の利用とエネルギー消費の削減を目的として設計されており、長期にわたり家庭のエネルギーコストを大きく削減することが可能となっています。そして、これらの新しい給湯器は、環境にやさしいだけでなく、家庭の光熱費を削減する上で非常に効果的な選択肢となっています。