混合水栓の基本的な仕組みや不具合の対処方法をくわしく紹介いたします

混合水栓の基本的な仕組みや不具合の対処方法

サーモスタット混合水栓は、浴室などの場所で特に重宝される製品で、水の温度を一定に保ってくれる便利さがあります。これにより、お湯の温度調整の手間を大幅に減少させることが可能です。とはいえ、サーモスタット混合水栓も完璧ではなく、故障や不具合が生じることがあります。

もし、サーモスタット混合水栓がうまく動作せず、給湯器の設定温度に達しない場合や、温度のコントロールが難しい場合は、どのような対応をすればよいのでしょうか。この記事では、サーモスタット混合水栓の基本的な仕組みや、問題が生じた場合の対処方法、そして最適な給湯器の設定温度などについて詳しく説明します。

目次

1.サーモスタット混合水栓の基本知識
2.サーモスタットの問題点
3.サーモスタットの故障の主な原因
4.混合水栓に最適な給湯器の設定温度とは?
5.サーモスタット混合水栓の交換費用
6.まとめ

1.サーモスタット混合水栓の基本知識

サーモスタット混合水栓は、冷水と温水の混合比を自動的にコントロールし、設定された温度を維持する水栓のことを指します。ユーザーは温度調節ハンドルを使って、望む温度を簡単に選択することができます。特に浴室など、定温を保持したい場所での使用が推奨されます。一方、シングルレバー混合栓は、水とお湯の出し入れが頻繁なキッチンや洗面所などで利用されることが多いです。

<浴室の便利な機能>
サーモスタット混合水栓は、現代の浴室にとって欠かせないアイテムとなっています。この機能は、お湯の温度を自動的に安定させることで、熱すぎるまたは冷たすぎるお湯のストレスを軽減します。特に浴室は水の流量や温度が他の場所より変動しやすいため、サーモスタット混合水栓はその変動を補正し、快適な入浴体験をサポートします。

<サーモスタット混合水栓の技術>
サーモスタット混合水栓は、お湯と冷水の割合を自動で最適化し、指定された温度を維持する仕組みを持っています。この技術の背後には、サーモバルブや形状記憶合金バネといった特殊な部品が使われています。
サーモバルブは、設定された温度に基づいて動作し、水の流れをコントロールすることでお湯の温度を調節します。形状記憶合金バネは温度に応じて伸び縮みし、この動きを利用してお湯の流れを適切に調整します。

<形状記憶技術>
形状記憶合金バネは特殊な材料から作られており、特定の温度になると元の形状に戻る特性を持っています。このバネは、低温では収縮し、高温では伸びることで、お湯の流れを適切に制御します。この技術のおかげで、サーモスタット混合水栓は常に一定の温度を保つことができます。

2.サーモスタットの問題点

サーモスタット混合水栓が期待通りの温度を出していない場合、以下のことを確認すると良いでしょう。

<ハンドルの位置をチェック>
サーモスタット混合水栓には温度を示すハンドルがあります。このハンドルがずれているか、緩んでいる場合、正しい温度が出ない可能性があります。ハンドルの位置を再調整または固定して問題を解消しましょう。

<給湯器の温度設定を見直す>
給湯器の温度設定が意図せず変更されていることも考えられます。特に、夏冬のモード切替やエコモードなどの機能が影響している可能性があります。給湯器の設定を適切な温度に戻し、問題が解消するか確認しましょう。

<他の場所での温度を確認>
台所や洗面所でのお湯の温度を確認してみましょう。もし他の場所でも適切な温度が得られない場合、給湯器そのものに問題があるかもしれません。その場合は、給湯器のエラーコードや警告音をチェックし、必要に応じて専門家に連絡することをおすすめします。

3.サーモスタットの故障の主な原因

長期間サーモスタット式混合水栓を使用すると、故障が生じることが考えられます。故障の主な要因には以下の点が挙げられます。

<給湯器の温度設定が適切でない>
給湯器の温度設定が適切でない場合、サーモスタット式混合水栓の性能が十分に発揮されません。給湯器が出力するお湯の温度が低すぎると、混合水栓はそれよりも低い温度のお湯しか供給できません。
もし給湯器の温度が非常に低い場合、期待した温度に達しないだけでなく、サーモバルブへの負荷も増大し、これが故障の一因となることがあります。給湯器の温度は通常、リモコンなどで調整が可能です。

<温度調整ハンドルの問題>
温度調整ハンドルは、水温の微調整に使用される部分です。このハンドルを過度に力強く操作したり、打撃を与えたりすると、内部メカニズムが損傷する可能性があります。
ハンドルの問題は、取り外して調整したり、再固定したりすることで一時的に解決することもあるが、部品が壊れている場合は取り替える必要があるでしょう。

<過剰な水圧>
過剰な水圧は、サーモスタット式混合水栓の正確な動作を妨げます。高い水圧下での使用は、サーモバルブに過大な負荷を与え、それが故障の一因となることもあります。
水圧が過剰な場合、元栓の調整や、給湯器の設定を見直すことで水圧を下げることが推奨されます。適正な水圧は、製品やメーカーによって異なるため、製品のマニュアルや公式サイトを参考にすると良いでしょう。
また、水の流れの強さは流量調節栓で微調整可能です。しかし、過度に制限すると動作に問題が生じる場合があるため、注意が必要です。

<サーモバルブのトラブル>
サーモバルブは、水とお湯のバランスを自動でコントロールする部分ですが、この要素に問題が生じると、正確な温度調節が難しくなります。
サーモバルブの故障の原因は、水垢や錆の蓄積、長期間の使用による劣化や損傷などが挙げられます。
サーモバルブに異常を感じた場合、専門家や水道業者への相談が推奨されます。

4.混合水栓に最適な給湯器の設定温度とは?

サーモスタット混合水栓の使用時、給湯器の適切な温度設定は必須です。温度が高過ぎると、過度な光熱費や火傷のリスクが高まります。一方で、設定温度が低すぎると望む水温を得られず、混合水栓の寿命も縮む可能性があります。
では、サーモスタット混合水栓の使用時の給湯器の最適温度は何℃か、以下で検討します。

<望む温度+10℃を目安に設定>
<サーモスタット混合水栓使用時の推奨は50℃>
通常、希望する温度よりも約10℃高めに設定することが効果的です。例として、シャワー使用時の理想的な温度が40℃ならば、給湯器の設定は50℃が適切です。
サーモスタット混合水栓は、設定した温度以下のお湯しか供給しないため、適切な設定が不可欠です。給湯器の温度設定が低すぎると、混合水栓が正常に機能せず、サーモバルブの耐久性にも影響を及ぼす可能性があります。

<50°C~60°C以下の設定は推奨されない理由>
給湯器の温度設定を50°C~60°C以下とするのは、多くの専門家から推奨されていません。その背景には以下のような理由が挙げられます。

<目指す温度に到達しにくくなる>
通常、シャワーの際に求める理想的な温度は約40°C周辺です。給湯器の温度が50°C~60°C以下の範囲に設定されている場合、サーモスタット混合水栓が水とお湯の配分をほぼ変動させることができなくなります。この結果、所望の温度を確保するのが難しくなる可能性が増加します。

<サーモスタット混合水栓の寿命を縮めるリスク>
もし給湯器の温度設定が低過ぎると、サーモスタット混合水栓は絶えず微調整を繰り返すことになるでしょう。この連続的な調整作業は、サーモバルブに過度なストレスを与え、故障のリスクを高めることに繋がります。

<細菌の増殖リスクの増加>
適切な温度範囲を保てない給湯器は、様々な細菌、特に従属栄養性細菌の増殖につながる恐れがあります。このため、給湯器の温度設定は50°C~60°C以上とするのが一般的に推奨されています。

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5.サーモスタット混合水栓の交換費用

サーモスタット混合水栓は、不具合が生じた際には交換が推奨されます。浴室のサーモスタット水栓の交換に必要な費用の一般的な目安を以下に示します。

・浴室の混合水栓全体の交換
約3~7万円(工事費含む)

・特定の部品だけの交換
約2~3万円(工事費含む)

サーモスタット機能付きの場合、部品の交換だけでなく、全体の交換を検討するケースが多いです。

6.まとめ

本記事では、サーモスタット混合水栓の機能や仕組み、設定温度に達しない場合の原因と対策、そして長持ちさせるための方法について説明しました。
サーモスタット混合水栓は、お湯の温度を自動で調整してくれる非常に実用的な水栓ですが、まれに温度の不具合が生じることがあります。
給湯器の温度が不適切であったり、水圧が極端に高い場合などは、サーモバルブ等の主要部品に過大なストレスがかかり、それが故障の原因となることも考えられます。
サーモスタット混合水栓の平均的な寿命は、10~20年とされています。適切な管理と使用により、その寿命を最大限に延ばすことができます。

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